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おれは偉いんだぞ〜 - クリスマスのフロスト part 2 「月曜日 1 〜 2 」

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お待たせしました!

前回は、クライヴが事情聴取に同行し、下宿に送られたところで終わりました。今回はその翌日です。

part 1 はこちら

月曜日 1

マレット署長登場。オレはお偉いんだぞ! という主張が溢れ出ていて、そこに間抜けさが相まってなんともコミカル。

ぶちまけられた水が拭かれるのをまっている自分を「現代のモーゼ」と形容するのが可愛いです。

不機嫌になっても、ナルシストすぎて、「ハンサムで有能な自分」を認識するとすぐさま調子を戻していますね。ここまでくるともはや特殊技能。・・・とはいえ気分が上下しすぎですが(そこが面白い)。

で、フロスト警部当ての苦情の手紙を見つけます。署の問題児、というのがにおってきますね。

そしてウェルズ巡査部長登場! この人も僕の大好きなキャラでして、いつも何かしらの不満や怒りを抱えているんですが、その表現の仕方がまー面白いんですよ。

で、捜査会議に自分を出してくれないことに不満を持ったウェルズを、マレットがマレット節で労わります。

「誰かが居残っていなくちゃならん。そうなると、わたしとしては、絶対に信頼の置ける人間にその役目を任せたいんだよ。そうだ、それで思い出したんだが、きみにひとつ重要な仕事を頼みたい (中略) 軍の連中に、署長専用の駐車スペースを使わないように伝えてほしいんだ」

そんなことかよ!!(笑)

で、捜査会議。

マレットが行くとざわつきがピタッとおさまります。やはり、出世を考えると、マレットの目についてしまうことは致命的なんでしょうね。

が、フロスト警部の姿はなかった。

こういうところが気持ちいいんですよ。

そしてマレットのスピーチの後、アレン警部登場。捜査の具体的な説明をします。アレン警部はフロストのライバル的な立ち位置の人で、めちゃくちゃ仕事ができるのは間違いないのですが、時々子供みたいなズルさが出る、他になさそうな珍しいタイプのキャラクターですね。

説明が終わると、警察署長から電話がかかってきます。ほら! 皆さん! このマレットの上への媚びへつらいっぷり。これがマレットですよ皆さん!

ここで気づいたのですが、この始まったばかりの段階で、すでに主要人物のキャラクターが完全に掴めるくらい分かりやすく描かれています。しかも面白おかしく。なんという描写力。そういったところが、この本を最初から最後まで面白くしてるんでしょうね。

月曜日 2

視点がクライヴに戻りました。寝坊からスタートです。

自分を坊ちゃんとバカにする署の奴らを見返したい、自分の実力を認めさせて出世コースを駆け上がりたい、と息巻くクライヴにとって、遅刻は致命的でしょう。焦り具合がリアルに伝わってきますねー、いやだいやだ。

ん? 警察署に向かう途中の、銀行の描写が伏線っぽいですね。

さて、警察署に到着しました。で、クライヴが自分のスーツの派手さに気付くシーンですが、笑うところなんでしょうけど、私は共感のあまり胸が苦しくなりました(笑) ウェルズ、いじらないであげてー。

そしてー! キター!! フロスト警部がやっと登場しました。初っ端から飛ばしますねー(笑) いつも面白いですが、特にウェルズとの掛け合いはハズレなしです。

視点がマレットに切り替わると、マレットがフロストに相当手を焼いていることと、フロストが警察長に意外と気に入られていることが分かります。また、マレットには本当に有能な面があるらしいことも分かります。

クライヴが署長室にて、マレットと顔を合わせます。2人が似た者同士であることが強調されていますね。ということは、クライヴとフロストの相性は、言わずもがな、ですね。

会話の中で、マレットからフロストの過去が少し語られます。フロスト警部の能天気なイメージからは想像しにくいですね。後に詳しく語られるのでしょう。にしても、2人の会話の紙のような薄っぺらさ、見事です(笑)

視点はフロストに移ります。この銀行は、クライヴが通勤中に気になったのと同じ銀行でしょう。ここで新たな事実が。

銀行の玄関扉の鍵穴付近に、新しい傷がいくつもある、というものです。誰が、何故こんなことをしたのか。

にしても、フロスト警部、ずーっとふざけ倒してます(笑)

フロストが警察署に戻ったシーン。ウェルズの良さが光ってます。ここまでで少しウェルズ苦手だなーと思っていた人も、ここらで見直してくるんじゃないでしょうか。

で、クライヴに視点が戻り、留置所の説明を受けています。浮浪者のサムの下りで少し時間が経過したようですね。

留置所に1人残され、少し不安な気持ちで見回りをしているクライヴの気持ち。ダブスンのクソ野郎。笑っちゃいましたが(笑)

「まいったよ、ビル。あのくそ親父のことをすっかり忘れてた」
ウェルズはちびた鉛筆の先をなめ、業務日誌に記入するふりをしながら言った。「本官が呼び止めたところ、件の容疑者は、『あのくそ親父のことをすっかり忘れていた』と応えた」

会議のことを思い出して警察署に戻ったフロストの一言。

フロスト登場回でしたね。でもフロストだけでなく、他の人物も個性を発揮している、濃厚な箇所でした。 ミステリーって、優れた配役をしている段階でどうしても退屈になりがちなのですが、フロストシリーズはホントうまいですねー。

今後のクライヴとフロストの絡みが楽しみです!

クリスマスのフロスト (創元推理文庫)

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