否定しなくていい、ただし疑え
情報収拾をしていると、「成功者から学ぶ」系の文をたびたび目にしますよね。
確かに、自分が目指す道で成功している人から「どうやったらそうなったの?」と聞きたくなるのはごく自然で当然の反応だと思います。
私自身、ブログを始めて間もないのですが、ブログのデザイン設定や情報発信の仕方など、本当に数多くのブログを参考にさせていただきました。
一方で、特にツイッターやライフハック系のブログなどをみると、「開始半月で収入10万!」、「月収100万達成!」など極端な物言いが多く、胡散臭さが拭えないのも事実。
わたしたちは、何を基準にして、自分の成功に役立てればいいのでしょうか。
それには、効果のある解決策とはどういうものかを考える必要があると思います。
間違った情報を正しいと信じる例
例として、競馬に詳しくないあなたが、熟練と言われている男から「この馬券を買えば確実に当たる」という情報を得たとします。
半信半疑ですが、自分で選ぼうにも右も左もわかりません。大した額ではなかったので、ものは試しということで購入します。すると、これがなんと的中! 次に、先ほどの男から「必勝法をまとめたメルマガを契約しないか」と持ちかけられます。以前より少し高くつきますが、前回勝った利益もあるので購入してみます。するとこれも大当たり。
こうなると、「あの人の言っていることは本当だ」と確信を持ってしまうのではないでしょうか。
しかし、御察しの通り、この話には当然落とし穴があります。
その男が、当たる確率が1割程度の様々な馬券を1000人の人に買わせていたとするとどうでしょうか。
確率的に、1度目のレースで100人ほどの人が当たり、2度目のレースで10人ほどの人が連続で当たることになります。その10人の中に、あなたが偶然入っていただけなのですが、あなたは「あの人の情報はいつも正しい」と騙されているというわけです。
こうなってしまうと、その後多少外れることはあっても、多くの人が継続的かつ盲目的にその男の言葉を信じてしまいます。
そして男は、10人に情報商材を売りまくり、「競馬で当てた」と行ってまわって、次のカモを漁るわけですね。
人間の生物的な愚かさ
これは、
信念バイアス:いったん正しそうな結果が得られると、「過程や議論」を正しく評価できなくなる。
確証バイアス:自分の建てた仮説に沿った結果を確認してしまうと、客観的な判断ができなくなる。
といった認知バイアスが人に備わっているためです。もちろん、これは自然界を生きていく上で有利だから備わっただけで、バイアス自体が悪者なわけではありません。
しかし、この特殊な現代社会では妨げになるのも事実。
対処するためには、この情報はどれだけ根拠がしっかりしているのか、と自分に問いかける習慣を持つ必要があります。
価値ある情報を「無価値」と思い込む
私の好きな本に、GRIT という本があります。
やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
- 作者: アンジェラ・ダックワース,神崎朗子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/09/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (13件) を見る
GRITというのは、「障害があっても頑張ってやり抜く能力」のこと。
学生や軍人を対象にした調査で、継続する力が高い人ほど人生に成功する確率が高いという結果が出た、という内容がベースになっています。
ベストセラーになったので知っている方も多いのではないでしょうか。
ですがこの本、どうもはてなブログの書評をざっとみてまわったところ、
「継続が大切なのは当然じゃん」
「当たり前のことしか書いてない」
「ハーバードのネームバリューで売れただけだろ」
といった批判があるようです。
これらは根拠を軽視している意見としか思えません。
本をいくら読もうが、人は「思い込み」にとらわれる
当然ですが、私たちが普段当たり前だと思っていることも、実は間違っている可能性が僅かながらあります。
実際、目標に向かって頑張り抜く能力のある人は、中年になると記憶力や頭の回転が低下し、健康リスクが増加する、という研究もあります。
Hostile attitudes and effortful coping in young adulthood predict cognition 25 years later
統計でしっかりと裏付けし、「不安にならなくても大丈夫だよ! そのまま頑張れ!」と背中を押してくれるのですから、多くの努力する人に支持されるのは至極妥当な評価だと思います。
なんの裏付けも根拠もなく、「継続は力なり」と唱えている人の言葉とは、内容が同じでも重みが違うわけです。
年間何百冊も本を読み、いい大学を出て、書評で多くの人に支持されるような人でさえ、認知バイアスが加わると、結論の過程を評価できなくなるわけですね。
これは当然私自身にも起き得ることです。
ではわたしたちは、本当に価値ある情報をどう判断すればよいでしょうか。
価値のある情報を選び取るには
認知バイアスは人の種としての本能なので、努力でなくすことはできません。
いくら合理性を鍛えたところで、ある状況下ではその能力が発揮できなくなるからです。
ですので、
どの情報がどれくらい根拠があるのか疑う習慣を持つ。
どういった情報が根拠があるといえるか、判断する力を養う。
この辺を攻めるのが妥当かなと思います。
で、2は、1次情報である出典から自分で判断する力が必要になるので、
英語の論文を当たるための英語力
論文の妥当性を理解するための統計の知識
この2点からアプローチしてみるのがいいんじゃないかと思います。
さて、こう考えると、一人の成功者の方法論が、いかに根拠のないものものか、おわかりいただけたのではないでしょうか。
妥当性の高い統計実験で証明された手法、またそれをベースに発展させた方法論こそ、価値のある情報といえるわけですね。
↓参考にした本
心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門―エビデンスを「まなぶ」「つくる」「つかう」
- 作者: 原田隆之
- 出版社/メーカー: 金剛出版
- 発売日: 2015/12/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
- 作者: ジェームズアレン,James Allen,坂本貢一
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2003/04/01
- メディア: 単行本
- 購入: 48人 クリック: 764回
- この商品を含むブログ (219件) を見る
というわけで、はじめてこういうブログっぽい記事を書いたのですがいかがだったでしょうか。
お見苦しい点あったかと思いますが、最後まで目を通してくださりありがとうございます!!
普段は読書実況をやっておりますので、興味があればそちらも是非!
今回の記事は、「超スピード文章術」の手法に沿って書きました!!