軽蔑、希望、貶め - クリスマスのフロスト part 9 「水曜日3〜4」
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水曜日 3
ファーナムの事情聴取に行っていたハンロンが、フロストへ報告にきました。
ファーナムは、叔母に会いに行ったというのはやっぱり嘘で、シンシアに会っていたと。
・・・誰だっけ? シンシア、シンシア・・・、あっ! 「火曜日 2」の最後の方にちょこっと出てきたおばちゃんかー! まさか本筋に絡んでくるとは。
1日のうちに2度もプロの女性と過ごすとは。うーん、コメントは控えましょう(笑)
シンシアに会いにいくのを嫌がるハンロン。
「でも、おれには彼女を見わけられる自信がないよ、ジャック。顔をよく知らないんだから」
「そういうときは、そこはかとなく男の色気を振りまくんだよ、アーサー。あんたのムスコをちょろっとはみ出させて座ってみろ、彼女のほうから声をかけてくる」
だめだろ(笑)
で、流れでガーウッドのことを話すと、ハンロンの目の色が変わります。聞けば、融資でハンロンの担当をしたことがあるそうな。
ここにきて、人物の色々なつながりが出てきますねー。
そこへ科研から電話が。なんとガーウッドを撃った銃は、フォーカスを撃った銃と同じものだと。
これが意味することは!? いやー、スケールが大きくなってきました。
ガーウッドを撃った犯人の手がかりを探すために例の銀行へ。
先ほど痛い目にあったハドスンは2人を追い払おうとしますが、対面して秒で諦めます。
健気だなぁ〜(笑)
僕、キャラの中でハドスンが一番好きかもしれません。
ガーウッドのオフィスに大した手がかりはなく、スタッフ一人一人に話を聞くも、好人物だったと褒め称える人ばかりで、個人的な付き合いがあった人物は見受けられません。
「どうやら、ガーウッドは聖人並みの人物だったらしいな。だが、賭けてもいい。あと一週間ほどしてもう一度、話を聞きに来てみな。ひとり残らず、そう言えばあの人にはどうも好きになれないところがあった、と言いだすから」
これまた賛否を呼びそうな発言ですが、多くの死の現場に実際に立ち会ったフロストが言うんですから、そういうものなのかもしれませんねー。
署に戻り、ハンロンと互いの成果を交換します。シンシアの件の裏は取れました。
で、次は先ほど銀行から回収した人事ファイルから、1951年当時の職員を検討していきます。
- パウエル:支店長。退職後、年金の一時金を一括で下ろしている。用途は不明
- フォーカス:有能。腕の骨折の記録は無し
- ガーウッド:事件後、治療のため3ヶ月休職。関与を疑う声もあった
- バロウ:守衛。事件後行方をくらます
どこかできいたキャラが混じっていますね。
どうにも怪しいと思うのですが、ピンとくるものがないのか、フロストはいつもどおり退屈してきました。
紅茶でも一杯・・・と思ったその時、ファイルに信じられない人物が!!
森の魔女マーサ・ウェンデルが当時銀行で働いていたと!!
「おれの言ったとおりだ、坊や。やっぱりあの女が一枚噛んでた。フロスト小父さんの直感を馬鹿にしてはいけない」
思い返せば、フォーカスの死体の場所を言い当てたのはウェンデルです。これは一気に手がかりに近づいたのではないでしょうか!!
ウェンデルの家へ向かう途中、警官の団体に遭遇しました。
「有力な情報です、警部。ヘリコプターが雪のなかで動いているものを発見したんです」
おお!! トレーシーが生きてる!? ちょっとドキドキしてきました。
・・・が、見つかったのは羊でした。期待が持てただけに残念ですね。フロストの落胆も、見ていて痛々しいほどです。
ウェンデルの家に到着。ウェンデルの姿は見当たりませんが、最近作られたであろう墓らしきものが見つかります。
フロストは勝利を確信して、科研や作業班、マーサ・ウェンデル捜索の手配を行います。
しかし、墓から発見されたのは、猫の遺体。
重苦しい沈黙が続いた。その沈黙には、明らかに非難の意味が込められていた。フロストは地面がぱっくりと口を開けて、子猫の死骸もろとも自分を飲み込んでくれることを願った。
期待からの落胆。期待からの落胆。
不幸な出来事が、最大限の不幸として、フロストに立て続けにのしかかります。どれほど傷ついたでしょうか。
手配した団体が帰り、墓を埋めなおしていると、ウェンデルが帰って来ました。
早とちりこそしてしまいましたが、彼女があやしいことに変わりはありません。ウェンデルに銀行でのことを聞いていきます。
- ウェンデルが解雇された理由は、支店長パウエルの問題を知ってしまったから
- パウエルの息子は度々父に金の無心をしていた。その後自殺
うーん、まだ結論に直結するような材料がありませんね〜。
水曜日 4
マレットに呼び出されて署に戻ってみると、やはり先後どの猫事件についてクドクドといびります。
しかし、記事を差し止められるかもしれないことを言うと、マレットも後ろめたいことがあり、すんなり機嫌を戻します。現金なやつです。
先々の件で少し落ち込みましたが、そこはフロスト。気を入れ直してファイルを当たります。
で、興味深い手がかりをみつけました!! 銀行強盗事件当時、守衛を務めていたバロウが、その少し前に骨折していたと!
ということは、あの古びた骨の正体はフォーカスではない可能性が・・・!!
おもしろくなってきました!!
で、フロストたちはパウエルに話を聞きにいきます。彼が当時の事件の唯一の体験者ですもんね。
車内での、フロストとクライヴの会話は考えさせられますね。
「確かに彼女は娼婦かもしれない。でも、だからといって、彼女がいい母親じゃないとは言えないはずです」
「彼女がいい母親なら、娼婦なんかしてない」
クライヴがいうこともわかるんけどねー。皆さんはどうお考えでしょうか。
パウエルの家に着きました。
「ひょっとして、あなたは銃をお持ちじゃないですか?」
フロスト、聞き方がストレートすぎる(笑)
強盗事件の2万ポンドは、他支店に融通するためのものだったことがわかりました。
ここでパウエル夫人がコーヒーを運んできました。
「お口に合いまして?」とパウエル夫人が尋ねた。 「素敵なカップですね」とフロストは言った。 パウエル夫人はその返答がいたく気に入ったようだった。
コミカルで面白いおばちゃんですね(笑)
で、当時の話を整理すると、
- 現金輸送の件を知っていたのはフォーカス、ガーウッド、パウエル、他支店のハリントンと、マーサ・ウェンデルの5人。
- パウエルは葬儀のため出発に居合わせなかった。
- パウエルによると、ウェンデルは命じられた出発の連絡をしていなかった。
パウエルが葬儀に行っていたのなら当然アリバイがあるでしょうから、実行は難しそうですね。
しかも、動機と思われた息子の借金返済についても、息子が自殺したのが事件以前とあっては成り立ちません。
パウエルも違うかー。じゃあ誰なんですかねー。
サンディ・レインのところへ、猫を掘り出した件をもみ消しにいきます。道中で、「え?」という事実をフロストが語りました。
いままで散々、奥さんのことを溺愛していたと思われたフロストですが、実は、奥さんとは離婚寸前だった、奥さんはフロストを憎んでいたとすら言っています。
ですが奥さんにガンが見つかり、余命は半年、しかも相当苦しむことになると医者から告げられます。
で、おれは予定を変更して、軽蔑され続けることにした。
その数日後、フロストはたまたま勲章を授与され、奥さんは誇らしさで有頂天になったといいます。人生の最後の最後で。
さて、サンディ・レインに談判します。交換条件として、昨夜ガーウッドが撃ちこまれた銃弾は、1951年にフォーカスを撃った銃と同じものらしいことを知らせます。
サンディも大喜びで、一件落着。そりゃおもしろい話題ですもんねー。
で、サンディからパウエルについて知っていることを教えてもらいます。サンディ、なんでも知ってますねー。
パウエルは息子が死んだ後に、どこからか金を集めて息子の借金を返済したといいます。これが本当なら、やはり事件当時も金が入り用だったことになりますね。
と、そこにクライヴが鼻息を荒くしてやってきました。
衝撃の報告。トレーシーが、あの教会の長持の中から発見された?
フロストは、あの教会の牧師は無実だと主張していました。
「あいつは確かに気の強い女だった。だが、ああいう死に方はむごい。あんなふうに死なせたくなかった」
仲が悪く、フロストを軽蔑すらしていた奥さんが、最後の最後に自分を誇りに思ってくれて、フロストも最高の気分だったでしょうね。
奥さんが病に侵されていなかったら、と考えずにいられません。
さて、今回は話が最高にいいところで切れてしまいました。トレーシーのことは間違いであってほしいですが、どうなるでしょうか。
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