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『生き抜くための高校数学』 part 1 「1. 1 整数」

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それでは、さっそく読み進めていくとしましょう!

1. 1 整数

よく考えてみると、2人、2個、2m、-2℃はすべて異なる物事の実例です。つまり、2という整数は、じつはとても抽象的なものです

言われてみればそうですよね。当たり前になりすぎて気付きにくいですが。

単位というまとまりの発明が、整数の活躍につながった、という言い換えもできるでしょうか。

5世紀から9世紀にかけてインドで発見された「ゼロ」は、最も意義のあるものだといえるでしょう。それは、ある位がない(空位)ことを表す印としての0と、計算に用いる数字としての0の、両方の意味を兼ねた「ゼロ」の発見だったからです。

0という数字の発見のすごさ、というのはよく言われることですが、0が当たり前になっているわたしたちにはなかなかピンときませんよねー。

そんな中、この説明は端的で非常に分かりやすいです。

問題

正解には5点もらえ、間違うと3点減点される計算問題を100題解いたところ、合計得点は300点であった。正解の個数を求めよ。ただし、無解答はないとする。

これは単純な方程式の問題ですね。正解の個数をxと置いて、

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で、正解が75個あった、ということが分かります。

本題はここからで、この問題を作成する立場になって考えみよう、とのこと。ここで挙げられているのは、文章中の合計得点を、300点ではなく280点として問題を作った場合です。その問題を解いてみると、

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となり、正解が72.5問だった、ということになります。しかし、(△のような採点がなければ 笑)問題は正解か、不正解かのどちらかなので、0.5のような小数にはなりえない、よってこの問題は、そもそも問題としておかしい、となるわけです。

このことから、

整数は珍しい存在の数であることを認識できる

としています。

このためにこんな例を持ってきたあたり、著者のこれまでの苦労が伺えますね(笑)


次は素数の説明。

  • 1つ目は、自然数をどのように素因数分解しても、答えは1通りになりますよーという性質、
  • 2つ目は、整数aと自然数bを適当に決めた時に、次の式f:id:nobi2saku:20190105214629j:plainが成り立ち、この式にあるq、rという整数は1通りになりますよーという性質。

この2つも、そりゃそうだよなーという感じですね。特に2つ目は、記号が何個もあって複雑に感じるかもしれませんが、割り算の商と余りは1通りになる、ということを言ってるだけですので、アレルギーの方もご安心ください(笑)

この性質の応用例として、以下の問題が出題されています!

問題

2014年の元旦は水曜日だった。2024年の元日の曜日を求めよ。

ただし、西暦n年がうるう年であるかどうかは、次のように定めている。

(ア)nが400の倍数の年はうるう年。

(イ)nが100の倍数であって400の倍数でない年は平年。

(ウ)nが4の倍数であって100の倍数でない年はうるう年。

面白い問題ですね。10年後に曜日はどうなっているのか。

まず、その10年のうち、何年が平年で、何年がうるう年かを考えてみましょうか。

2014年から2024年まで間は、問題の(ア)と(イ)に該当する年がないのが明らかなので、単純に(ウ)の、4の倍数の年がうるう年、と考えて大丈夫そうです。

ということは、2016, 2020年の2年がうるう年ですね。それ以外の8年は平年。

で、平年では、1年ごとに曜日がいくつ進むのか、ですが、これは、1年を1週間で割ってみると、

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となります。平年の1年は52週と1日であることが分かります。

自ずと、うるう年の1年は52週と2日なことも分かりますね。

一年が経つごとに、この1日、2日の分だけ曜日が進むわけですから、2014年から2024年までの10年で、8年が平年、2年がうるう年なので、

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ということで、12日分の曜日が進むことになります。1週間は7日なので、12を7で割ると、1余り5。

5日分進むのと同じ曜日になることがわかるので、水曜日から5日進めると・・・

月曜日!!

つまり、2024年の元日は月曜日!! ということになるわけですね。


最後に定理の証明。

素数は無限個存在する。

この定理を証明してみよう、というわけですね。

この証明、2006年という比較的最近に、サイダックという数学者が、いままでよりわかりやすい証明を発表したそうです。一般人の私たちがわかるような証明が近年も発明されている、というのは驚きました。

この証明の準備として、

2以上の任意の(勝手にとった)自然数mに対し、mとm+1は互いに素

という性質を理解しておく必要があるとのこと。

この性質を、まず背理法で証明しています。

mとm+1が共通の約数(公約数)aを持つと仮定して、矛盾したら、公約数を持たないことになる、というわけですね。

上記の太字を式に変換すると、

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右の式から左の式を引いてみると、

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上の式は成り立ちません。 なぜかというと、aは約数なので、2以上の自然数でなくてはなりません。 また、bは自然数なので、cも自然数です。

式が矛盾していて、成立しないので、

2以上の任意の(勝手にとった)自然数mに対し、mとm+1は互いに素

は正しいわけですね。

実際に適当な数で試してみましょうか。

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公約数がないのが確認できます。


で、本題のサイダックによる、素数が無限個存在することの証明です。

まず、

n : 2以上の自然数 p1 : nの約数で、かつ素数 p2 : n+1の約数で、かつ素数

を定義します。

先ほど証明した、

2以上の任意の(勝手にとった)自然数mに対し、mとm+1は互いに素

の性質があるので、p1とp2は違う素数になります。

次に、

p3 : (n+1)+1の約数で、かつ自然数

を定義します。p3とp2の関係は、p2とp1の関係と同じなので、これも別の素数です。

さら、

p4 : {(n+1)+1}+1の約数で、かつ素数

を定義。これもp3とは別の素数で、p1、p2とも異なる。

p5、p6、p7と、これ以降も延々と違う素数ができるので、素数は無限個存在すると言える、ということです。

「ひとつがいの雉も2日も、ともに2という数の実例であることを発見するには長い年月を要したのである」

実は深い、整数の世界。今回は哲学的な話が多かったですね。こういうところをつっこんでいくと、深淵に沈んでいきそうです(笑) みなさんはいかがだったでしょうか。

どんな感じで記事にしようか散々迷いましたが、今回は、問題の解き方を、僕の言葉に置き換えていく、という感じにしました。ご意見あればぜひぜひ!!